むし歯は定期健診で防げるの?


新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院の院長 松田拓己です。

【略歴】

平成2年 新潟大学歯学部卒業

平成2年~5年 新潟大学歯学部付属病院口腔外科勤務

平成5年~6年 長野赤十字病院口腔外科勤務

平成9年 新潟市西区小針にて松田歯科医院開業

 

「毎日3回も歯みがきをしていますが、新しくむし歯になったり、歯周ポケットができたりするのはおかしくないですか?」

 

最近はしっかりと歯をみがく習慣が根づいてきましたので、食後は必ず歯みがきをされる方が増えています。

 

とても、素晴らしいことですね。

 

ただ、これだけ歯みがきをがんばっているのに、歯医者のレントゲンでむし歯が見つかったり歯周病が進んでいるとがっかりします。

 

歯みがきをしてお口の中をきれいにしていれば、歯は悪くならないはずなのに、、、

 

実は、歯の周りを完全にきれいにするのはかなり難しいのです。

 

「でも、歯みがきをしているから、わたしの歯は白くてきれいですよ」と仰る方も多いですね。

 

これは、歯の周りについている歯垢(プラーク)が白いために、目立ちづらいのが原因だと思われます。

 

 

また、上の図のように歯垢(プラーク)が残りにくい場所は、歯が重なっていたり歯と歯の間のように見えづらい場合が多いのです。

 

歯垢(プラーク)の色が毒々しい原色や蛍光色だったら、磨き残しはずい分減るのだと思いますが、、、

 

「磨き残しがあったとしても、仕上げにうがいをしますから食べかすは残っていないはずですよ?」

と言われることもあります。

 

食事をしなければ歯を磨く必要はないですよね?という質問もいただきますね。

 

ご存知の方も多いですが、歯垢(プラーク)は食べ物のかすではありません。

 

歯の表面で繁殖した細菌の集団が歯垢(プラーク)なのです。

 

そのため、食事をしなくても歯垢(プラーク)は増えますし、うがいをしても取り除くことができません。

 

細菌がくっついているだけなら洗い流せそうな感じもしますが、細菌が繁殖する際にネバネバの物質(LPS,EPS等)を分泌して歯の表面にこびりつくのです。

 

ちょうど、水槽やシンクにこびりつく「ぬめり」のようなものなので、水を流しただけではビクともしません。

 

そのため、歯ブラシや歯科医院で使う専用の器具などで歯の表面からはぎ取るしかないのです。

 

「歯垢が落としづらいのは分かったけど、磨き残しにそこまで神経質になる必要はないでしょう?」というご意見もいただきます。

 

歯垢の中の細菌はとても小さいので、わずかな白い固まりの中にもびっくりするくらい大量の菌が潜んでいるのです。

 

ちなみに歯垢が1g残っていたら、その中に潜む細菌の数は1,000億匹と言われています。

 

なので、できるだけ歯垢(プラーク)の磨き残しは少なくしましょう。

 

これだけ数が多いので、プラークの中には様々な細菌が集まっていて、300種類が発見されています。

 

面白いのは、歯垢(プラーク)ができ始めた頃はむし歯や歯周病の原因となる悪玉菌が少ないことです。

 

歯垢(プラーク)が磨き残されて時間がたつうちに、歯を溶かす酸を作ったり歯を支える骨が溶ける原因になる細菌(悪玉菌)が増えてきます。

 

そのため、見える所だけはきれいになっていても、磨き残しのある場所にずっと歯垢(プラーク)がついたままだとむし歯や歯周病が進んでしまうのです。

 

こうなると困りますので、当院では歯垢(プラーク)が残っている場所をプラークチャートにして患者さんにお渡ししています。

 

他にも、歯ぐきの状態やむし歯リスクの高い場所などを記録して説明させていただきます。

 

白い歯の表面に白い歯垢(プラーク)が付着していても気づきづらいですし、歯と歯の間や歯の裏側などは鏡でも見づらいものです。

 

そこで、患者さんが気付きづらい点や、より歯垢(プラーク)を落としやすい方法をご説明して、できるだけ悪玉菌が増えないようにサポートしています。

 

このように、患者さんのセルフケアで歯垢(プラーク)を減らしていただくのが、むし歯や歯周病を予防するのに最も重要です。

 

そして、歯ブラシなどでは磨くのが難しい場所に残っている歯垢は、定期的なメンテナンスの際にきれいにさせていただきます。

 

たとえば、歯と歯の間や深い歯周ポケットなどですね。

 

また、歯垢(プラーク)とは違って硬い歯石は歯ブラシなどでは取れませんので、専用の器械を使ってクリーニングします。

 

もちろん、歯科医院で歯のクリーニングが終わった後は、歯垢(プラーク)がたまって悪玉菌が増えるのを防ぐために、ご自宅でのセルフケアが大切ですね。

 

それにしても、本当に歯垢(プラーク)の中に細菌がいるのでしょうか?

 

確かに、細菌は小さくて目に見えませんのでなかなか信じられないかも知れません。

 

そこで、患者さんのお口から取った歯垢をモバイル顕微鏡で拡大して見ていただきます。

 

モバイル顕微鏡とは聞き慣れない名前ですが、細菌の映像を1000倍に拡大して、スマートフォンのカメラで撮影できるのです。

 

1000倍まで拡大すると、目に見えなかった細菌も丸いものや蛇のようにクネクネ動く細長いものなど、プラークの中にうようよしているのが観察できます。

 

ご自分のお口の中にいる細菌を見ると、「キャー」と声を上げるが多いのですが、興味津々にご自分のスマホで撮影される患者さんもいらっしゃいます。

 

歯科医師 松田拓己

(新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院 院長)

 

 

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