新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院の院長 松田拓己です。
【略歴】
平成2年 新潟大学歯学部卒業
平成2年~5年 新潟大学歯学部付属病院口腔外科勤務
平成5年~6年 長野赤十字病院口腔外科勤務
平成9年 新潟市西区小針にて松田歯科医院開業
「歯の治療に通うのは勇気がいりますよね」
「歯医者さんて怖いですよね」
わたしが新潟大学の歯学部に通っていたころから「歯科医院は行きたくない場所」だと仰る方がほとんどでした。
わたし自身も、むし歯の治療を受けるのは極力避けたいと願っています。
診療中にこのようにお話しすると
「歯医者さんもむし歯になるんですね 」と驚かれることが多いですね。
「生まれた時から歯医者をやってるわけじゃないですからね~」とお返事すると、多くの患者さんには納得していただけます。
とは言っても、わたしが「歯を削らないのが大事ですよ」とお伝えしているのは、歯を削られるのが嫌で歯科医院に通わない方が多いためではありません。
歯の寿命をできるだけ長くして一生おいしく食事を楽しんでいただくために、歯と歯を支える骨を丈夫に保つのが大切だからです。
むし歯で穴があいてしまった歯をまったく削らずに治療するのは難しいですが、できるだけ神経の近くまでは削らないようにするのが歯を長持ちさせる秘訣です。
そのために大事なのは、歯を削る量を少なくして強度を保つことで、歯が割れてしまうのを防ぐだけではありません。
神経に直接触れているわけでなくとも、むし歯などの刺激が原因となって歯の痛みがとれなくなる場合があるためです。
つまり、神経にダメージが加わってしまうと、むし歯が神経に達していなくても痛みがひかなくなったり神経そのものが死んでしまう原因になります。
痛みを抑えるため、または死んでしまった神経にむし歯菌が感染するのを防ぐためには、歯の中心部まで削り込んで根の中を専用の器具で清掃し消毒する必要があります。
さらに、根の中の神経と血管を掻きとってむし歯菌がいなくなったことを確認してから、再び感染が起きるのを防ぐため根の先まで薬で埋めるのです。
ところが、神経と血管がなくなった隙間を埋めただけでは治療は終わりません。
神経を取ると歯が弱くなるため、補強が必要になるからです。
歯が弱くなる原因としては、次の3つが挙げられます。
・血管がなくなるので血液からの栄養供給がなくなる
・歯の中の水分が少なくなる
・嚙む力を受け止めるエナメル質と象牙質が失われる
エナメル質と象牙質と言われても、よく分からない方が多いと思います。
上の図でご説明しているように、神経が生きている歯は上下で噛み合う部分(咬合面)が丈夫なエナメル質や象牙質で覆われています。
特にエナメル質は非常に硬いので、かなりの力に耐えられます。
そのおかげで、強い力で噛み合うことがあってもそう簡単に歯が割れることはありません。
しかし、神経を取り除く際には、上下の歯で噛み合わせる部分(咬合面)を削って、治療器具を根に入れる穴を開ける必要があります。
そうすると、歯が噛み合うたびに横へ押し広げる力が加わりますので、強度が落ちた根が割れやすくなってしまうのです。
歯が割れては困りますので、歯の周りを削ってかぶせもの(クラウン)を作ります。
ちょうど、エナメル質や象牙質の代わりに、かぶせもの(クラウン)を使って歯が割れるのを防ぐのです。
説明が長くなりましたが、歯の神経を取るために削る部分が増えて、割れやすくなった歯を守るために歯をさらに削ってかぶせものを作らなければなりません。
このように、神経の治療が必要になるかどうかで、歯の寿命が左右されるわけです。
そのため、できるだけ歯の神経を残せるように、毎年学会に欠かさず出席して研修を行っています。
ただ、どんなに学問や治療法が進歩しても、一度削ってしまった歯は健康な状態に戻ることはありません。
なので、西区の松田歯科医院では初診時のカウンセリングで予防の大切さについてご説明しています。
やはり、患者さん自身の歯磨きでお口の中の細菌を減らすのが最も重要なのです。
そして、セルフケアに加えて定期的なメンテナンスを継続していただくで、予防の効果が高まります。
できるだけ歯の神経を取らずに、むし歯を治療できるように努力は続けてきました。
それでも、わたしにとって一番嬉しいのは、ご自分の歯を守るために患者さんが定期健診に通ってくださることです。
歯科医師 松田拓己
(新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院 院長)